英語のハノン。厳しいトレーニングと絶大なリスニング効果が話題の問題集です。
この本は『TOEICに効果はあるのか?』と気になって買ってみました。
結論から言うと、「この本は、英文法が学べる本じゃない。でも英語を勉強する日本人に足りない練習ができる本」と感じました。
つまり、TOEICに効果はあるの?
あります!
- 英語を英語のまま理解するスピードが上がる
- 初級者でも、英語力の大幅強化ができる
- 英会話で、言葉が出やすくなる
正直、こんな勉強法ができる本は初めてだったので衝撃的でした
この記事では…
- 英語のハノンを使った勉強のやり方
- TOEICにどのような効果があるのか
- 推奨レベル、難しさ
これらをレビューしていきます。
ちなみに、この本の正式名称は「スピーキングのためのやりなおし英文法 スーパードリル 英語のハノン初級」です。
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英語のハノンの効果『意味を理解する力』が上がる
英語を読んだり、聞いたりして理解する力が鍛えられます。
つまりTOEICリスニングの意味が理解できるようになり、リーディングが早く解けるようになります。
効果の理由は、英語のハノンならではの5つの特徴のおかげでした。
1.スピーキング (話す)ことを前提とした練習ができる
この本は、日本人の英語学習に足りない「英語をアウトプットする練習」をするための参考書です。
自分で英文を考えて、『話す』『書く』ことです。
英語の知識はあっても、話せない , 書けない日本人は多いです。
自分でゼロから文を考えるのって難しいんだよね
日本人が苦手な分野の練習、その練習はまるで…
「今まで鍛えてこなかった部分の筋トレをする」ようなものですから、慣れるまではキツイです。
この本は難しいですが、私もあまり英語を話す機会がないので良い練習になります
2.英語の語順を頭に叩き込むことができる
英語は、日本語とは違う語順です。
英語のハノンは『英語の語順の理解』を徹底的に鍛えることができます。
↑語順が理解しやすい解説
英語を英語のまま理解するためには、『英語ならではの語順』に慣れるのが重要です。
例: I like her.
(主語+動詞+目的語)の順番
『英語のハノン』の練習法は、自分で考えながら少しずつ英文を変化させていくものです(あとで詳しく解説します)
例えば
- この文を疑問文に変えよう
- この文を”How old” から始まる文に変えよう
など
答えが与えられるのではなく、学習者に考えさせることによって英語の語順を理解させていきます。
英語のハノンは、学習者に考えさせる練習問題が特徴。TOEICの問題を深く理解できるようになる。
3.英語の構造が理解できる (5文型が理解できる)
英文の成り立ち(いわゆる5つの文型)が、よくわかるようになります。
英語の5つの文型か、聞いたことあるかも
↑第1文型の解説部分です。
英語の文は、必ずこれら文型のどれかに分けることができます↓
第1文型 | SV |
第2文型 | SVC |
第3文型 | SVO |
第4文型 | SVOO |
第5文型 | SVOC |
これだけ見てもよくわからないよ
英語のハノンは『音声を聞いて、声に出して』が前提の練習法を採用しています。
英語を理解するには、インプットとアウトプット両方の練習が大切です。
英語のハノンでは、例文を『考えながら声に出す』問題を繰り返すことで、
- この部分は”補語”だ
- この部分は”目的語”だ
このように、自然と理解できるようになります。
つまり、英語の構造(5つの文型)が身につく
5文型を知らなくても英語は理解できます。私はTOEIC900点を取ったとき、文型のことを一つも理解していませんでした。
英語を理解するのに、毎回『これは~文型だ』と分類する必要はない。だが、知っていると英文が深く理解でき、例えばTOEICリスニングの先読みが速くなる。
4.大幅なレベルアップができる
英語のハノンでの練習はハードです。
その分、進めれば進めるほどみるみる英語力が上がっていきます。
『自分で考えて新しい英文を作る』という練習法が、難しいけど効果が高いです。
英語のハノンを実際使ってみて起きた変化
私が実際に使ってみた効果、140 WPM→170 WPM に上がりました。
Words per minute の頭文字をとったもので、1分あたりに処理する単語数の指標です。日本人の平均は100WPMで、TOEICを解ききるには150WPMが必要とされています。
WPMを測れるWEBサービス→メジャーさん
英語のハノンは初級者でも練習できる絶妙な難易度で、1周終えるころには英文の理解が驚くほど速くなっています。
5.学校で勉強した英文法のおさらいができる
学校で勉強した基本的な英文法を、さらに深く体系的に覚え直すことができます。
基本的な英文法を知っている状態でこの本を使えば、スピーキングの練習をしながら、さらに英文法の細かいところまで深く理解できます。
基本の英文法を知っている前提での解説が多いので、初心者には向かないです。
初心者は、基礎英文法から始めよう。英語のハノンは初級者向け。
短所もある|読みにくい、レイアウトが悪い
良い点が目立つ『英語のハノン』ですが、欠点もあります。
読みにくい
文字ばかりのレイアウトなので、読みにくいです。
一見しただけでは、どこが練習問題なのか、どこが解説部分なのかがわからない
もう少し、見た目を良くすることは出来なかったんですかね?
その分、内容が良くて効果が高いのは確かです。
難しい
何度も言いますが、英語のハノンの練習はハードです。
『やりなおし英文法』というサブタイトルが示すとおり、英文法をゼロから学ぶ本ではないです。
- 基礎英文法を知っている前提の解説が多い
- 自分で英文を作ることは、慣れないうちはハード
基本的な英文法を知っていても、一日15分もハノンをやれば疲れてしまいます。
解説がわかりにくい
英文法の解説部分がわかりにくいです。
英語のハノンの構成が、
- 英文法の解説
- ドリル
の2つだけというシンプルなもので、解説部分に専門用語が多く、理屈っぽい印象を受けます。
スマートに解説しようとしてるせいで、わかりにくい文になってるんだよね。読者の目線に立ってほしいな。
既に英文法をわかっている人向けの本だからといって、わかりやすさを放棄していい理由にはならないね。
これの解決法は…『まずドリルから手を付けること』
極論ですが、『英語を学ぶのに日本語での説明は必要ない』ので、日本語の専門用語はあえて覚えなくていいです。
疑問副詞とか、人称代名詞とか、初めて聞いたよ
↓日本語の解説部分を読むと混乱するので、まずはドリル部分だけを進めよう
英語のハノンの魅力は、このドリル部分と英語音声!
解説は、ドリルがわからなかったときだけの補足ていどでいいよ
英語のハノン、ネットで見かけた評判
ネットで見た英語のハノンのレビューはほとんど高評価でした。
欠点は『難しい』『見にくい』というもの。
- やり直し英語にピッタリ
- 難しいけど、周回することで実力がみるみるついていく
- 見た目(レイアウト)が分かりにくい
英語のハノンのレベルは?|どんな人向け?
効果が高いのはわかったけど、あたしでもできるレベルなのかな?
対象レベルについて解説するね
TOEIC400点以上の初級者なら始められる
英語初級者(TOEIC400点)以上なら、『英語のハノン』を進められます。
基礎英文法を知っている前提で解説がされているので、それさえ理解できれば更に理解が深まります。
英語のハノンを終えた頃には中~上級者のレベル(TOEIC600点~)になっています。
TOEICを受けたことがない人は
TOEICを受けたことがなくて、スコアがわからない人は『基礎英文法を知っているかどうか』で判断してください。
主語と動詞の関係、be動詞、現在形、過去形、現在進行形、過去進行形、現在完了形、過去完了形、 比較級、最上級、受動態、品詞の理解、前置詞
これらがわかっていれば大丈夫。
英語のハノンがTOEICに効果的な 3つの理由
英語のハノンがTOEICに効果的な理由をまとめます。
1.自分で文を作り変える練習ができる
全ての練習問題が『自分で考えて英文を変えていく』形式です
『自分で考えて英文を作る』ことが、英語の理解を深める1つ目のヒケツです。
英語のハノンは、この『自分で考える』部分を重点的に練習できるので、効果が高いです。
自分で考えることで、『英文のどの部分を入れ替えると違う意味になるのか』などの構造が理解できるようになり、表現の幅が広がります。
とくに穴埋め問題である、TOEICPart5と6が解けるようになるよ
自分で英文を考えると
- 様々な英文を読む応用力が身につく!
- 自分の言いたいことを伝える力が身につく!
- TOEIC Part5&6に強くなる!
2.必ず声に出す練習
英語のハノンの練習問題は、例文のアナウンスを聞いてから、自分で声に出して練習します。
音声ファイル名と練習問題の番号が一致しているのを確認しよう↑
英語は、インプットとアウトプット両方で伸ばすものです。
声に出すアウトプットの練習は、英語を伸ばす2つ目のヒケツ。
特にTOEICリスニングの聞き取りレベルが上がる
3.細かく繰り返すことで、英語脳を鍛える
英語のハノンの練習問題は、文の作り変えを5つの違う例文で繰り返します。
これが、『英語のハノン』の練習がハードな最大の要因です。
同じことを繰り返して理解を深めることは、英語を伸ばす3つ目のヒケツ。
繰り返すごとに、理解が深まるのが実感できる。
英語のハノンでは、TOEIC勉強に必要な『英語の構造を理解すること』ができる。これはTOEIC参考書では鍛えられない部分。
英語のハノンが、TOEICスコアに起こす変化
『英語のハノン』は英語の構造を理解できる良い参考書で、TOEICスコアに直結する本だと、ここまで解説してきました。
具体的に、どのような変化が起きるのかというと。
- 英語のハノンを一冊終えるとスコアが上がる
- 英語のハノンを終えたあとにTOEIC勉強をすると、効率が倍増する
- TOEIC問題集の解説を読んで『なるほど!』と納得できることが増える
一度納得した問題は、次は絶対に正解できます。応用問題にも対応できるようになります。
TOEICでよく見る問題がわかるようになった
TOEICリーディングでよく使われる文法が、そのまま解説されていました。
例えば、
Having ~ed とか Drawing ~,
など、改めて解説されないとわからないような文法が載っています。
Part7を読むスピードが上がった
パート7の長文がスラスラと読めるようになっていました。
TOEIC受験したことある方ならわかると思いますが、パート7の長文、特にダブルパッセージ、トリプルパッセージの記事って、文が長くて内容が頭に入ってこないんですよね。
英語のハノンを理解したあとに長文を読んだら、スムーズに読めて驚きました。
体感で言うと、英語を読むスピードが1.5倍になった
英語のハノン Q&A
中級をやる意味ある?
英語のハノンには中級編、上級編もあります。
ビジネス英語などに特化した内容ですが、初級だけで十分TOEICの練習ができます。
特に専門的な英語を身につけたいわけではないのなら、中級以上に手を出す必要はありません。
難しすぎるんだけど、続けて大丈夫?
難しいのが『英語のハノン』の特徴です。
慣れないうちは進めるのが遅くなるでしょう。
ですが英語の勉強に必要な要素がぎゅっと詰まった本なので、TOEIC高得点を狙うならいずれ通る道です。
アナウンスの速さは2種類から選べるので、難しいと感じたらSLOWで練習しましょう。
SLOWでも、追いつけなくても大丈夫。しっかり伸びています。
音声ファイルはどこからDLするの?
使用する音声は公式ページ から無料でダウンロードできます。
ダウンロードしなくても、ラジオみたいにストリーミング再生もできます。
DLして、使い慣れたミュージックアプリで練習したほうが絶対にオススメ
【結論】英語のハノンはTOEICに強力な効果がある オススメ本
英語のハノンは、内容が難しいわけではなく練習法が疲れる、ハードなだけ。
だから、初級者でも始められる。
『基礎的な英文法を知っている』という条件はありますが、短期間でのレベルアップを狙うなら、英語のハノンにチャレンジしてみるのがおすすめです。
この一冊で世界が変わる
個人的に、かなり当たりの参考書でした。
TOEICリスニングを一気にレベルアップさせたいなら、是非使ってみてください。
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おまけ:『英語のハノン 初級』を使った勉強のアドバイス
この本を使っていて感じた『英語のハノンの おすすめの使い方』を書いていきます。
シンプルに練習問題を解いていく
英語のハノンの構成にしたがって、シンプルに解いていきます。
英文法の解説 → 実践練習問題
英語のハノンは、この2つの構成で成り立っています。
実践練習問題は『ドリル』と呼ばれています。
ドリルは、英語の文をお題に沿って言い換えるのが基本です。
これを、英語アナウンスを聴きながら進めていくだけです。
必ず、自分でも発音します。
難しい解説部分は 軽く読む程度にする
この本のあまり良くない特徴として「初心者に優しくない、解説がわかりにくい」というものがあります。
急に聞いたこともない専門用語が飛び出したりします。
例えば、『法助動詞』とか。私は聞いたことありません
英語の勉強をしているのに、日本語で難しい用語を覚える必要はないと私は思います。
なので、日本語での解説部分はほとんど読まなくていいです。
英語での例題部分だけを読み、すぐにドリルに取り掛かりましょう。
この流れで勉強するだけで、十分英語のハノンの良さは引き出せます。
ドリルを進めていて、「ここはなぜこうなるんだろう?」とわからなくなったら、そこで初めて解説を読む。
でも、こういうタイプの人なら…
ただし例外もあります、あなたが英語を理屈で覚えるタイプの学習者の場合です。
数学の問題を解くように、論理的に英文法を理解するほうが向いているという場合は、この本の解説部分をしっかり読んで理解してからドリルを解いてもいいです。
自分の性格に合わせて使い方を変えるんだね
ドリルを進めるときは、文を読まずに
ドリルは5問で1セットなので、一つ一つをじっくり解いていきます。
その際には、文を見ずに音声を一時停止しながら耳と口だけでチャレンジします。
どうしても聴き取れなくてわからなかったら、初めて文を見ます。
文を見ながら聞いてしまうと、音に集中しなくなっちゃうからね。まずは視覚からの情報を断って理解しよう。
英語のハノン(初級)は一個一個の文が短いから、この厳しめの練習でもやりやすいです。
おまけ2:『英語のハノン 初級』の目次に載っている英文法一覧
英語のハノンでおさらいできる英文法を一覧にして書きます。
目次に載ってる順です。
各品詞、現在形(第1文型)、過去形(第2文型)、現在進行形、助動詞(第3文型)、第4文型、第5文型、疑問代名詞、疑問形容詞、疑問副詞、受動態、現在完了形、命令文、否定疑問文、付加疑問文、不定詞、分詞
TOEICのために追加で覚えたい文法
英語のハノンで扱っている文法は割と高度なので、TOEICのために追加で覚えたい文法はそんなに多くないです。
- 関係代名詞
- 品詞のもっと深い理解
- もっといろんな種類の前置詞
この3つです。
そもそも基礎的な英文法を一通り知っていないと、英語のハノンを進めることすら難しいですし、英語のハノンを進められている時点で、TOEIC 400~500点くらいは取れるはず。
あとは、TOEICの練習問題をたくさん解いて慣れていけば、リーディングは問題ないです。
600点以上を狙っていけます。